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ヒムカ出版(出版社)

 

ヒムカ出版渡邊氏プロフィール画像
 

 企画・編集・販売までひとりで行い「宮崎の小さな出版社」として、宮崎に根付いた本を出版している「ヒムカ出版」代表の渡邊晃さんの大きな夢のお話を伺いました。最新作「宮崎市郷土かるた」の制作秘話も少しだけ。

 

Q:出版業を始められたきっかけを教えてください。

 「本が好き」という事が大きな理由になるのですが、きっかけというと、私が20代の頃に祖父 の本棚の遺品整理をしていた時、爺ちゃんが読み込んでいた本が捨てられなかったんです。なぜかというと、読んでいて気になったところにアンダーラインを引いていたり、折り目や付箋などを見ると、本は爺ちゃんが生きていた証だなと思って心を動かされたんです。今思うとその出来事が出版業を始めようと思った起点になっていると思います。

読み込まれた本の画像

 

Q:事業概要を教えてください。

 2018年9月に開業し、宮崎県にゆかりのある作品を書籍化しています。これまでに合計9冊を発行しました。
 宮崎県の郷土の歴史や文化と若い世代の方の架け橋になれれば良いと思っており、例えば、宮崎市出身で戦後に郷土作家として活動された中村地平さんの民話「鬼八伝説」を初の絵本風に作ってみました。

 

【ヒムカ出版の書籍】
◯鬼八伝説
 高千穂、阿蘇地方に伝わる鬼退治伝説の民話を郷土作家中村地平氏の著で絵本化。「鬼八とは 一体何者なのか?」山間地の暮らしの風情を今に語り継ぐ一冊。

ヒムカ出版絵本鬼八伝説の画像

 

◯やっちょっど!宮崎すごろく
 宮崎県内の全市町村を巡るすごろくゲーム。サイコロころがし各地の神話や祭り、歴史にふれる65マスの宮崎ぶらり旅。

ヒムカ出版宮崎すごろく画像

 

◯それいけ!古事記すごろく
 古事記のストーリーに沿って、神様や物語の場面を進んでゆくすころくゲーム。遊んで読んで、日本神話が楽しく学べる。

ヒムカ出版古事記すごろく画像

 

◯宮崎市民の森 万葉歌碑五十六基ガイドブック
 万葉集で詠み込まれた植物たちが多く自生する市民の森の園内に建つ万葉歌碑56基。その歌意と背景をわかりやすく紹介。

◯現代語訳 上井覚兼日記(1〜3巻)
 島津氏の重臣・上井覚兼(うわいかくけん)の日記を全国初の現代語訳化。天正10年(1582年)〜の宮崎城主時代の日記を収録。

◯宮崎名所十二景ポストカードセット復刻版
 宮崎の名所を現代美術家・小松孝英が浮世絵風に描いたポストカードセット。作者が20代前半に県内をめぐりその風光明媚に故郷の思いを込めて描いた初期作品。

 

Q:最近の活動内容をお聞かせください。

 2024年11月に宮崎市制100周年を記念して「宮崎市郷土かるた」を発売しました。
 この歴史的な節目に、あらためて宮崎市の魅力に触れていただきたいと思い、文化財、自然、偉人など市内の魅力を45音の札にしています。かるたのデザインとイラストも宮崎市在住のデザイナーのAZu(榊あずさ)さんに担当していただいています。

 激動の戦乱や近代化を乗り越えてきた史跡や建築、庶民の暮らしに寄り添ってきた郷土玩具や民俗芸能など、かるたを通じて、宮崎市の宝物を再発見できる内容になっています。ふるさとの風土を受け継ぎ、次なる100年に向けてご家族や学校で楽しんでいただきたい商品です。

ヒムカ出版宮崎市郷土かるたの画像

ヒムカ出版宮崎郷土かるた絵札の画像

 

Q:かるたの制作秘話を教えてください。

 かるたを作るきっかけは、2018年に出版した「宮崎すごろく」の読者ハガキで子供向けに「かるた」を作って欲しいという意見が多かった為です。ひとり出版社なのですぐには着手できなかったのですが、頭の片隅でずっと構想を練っていました。

 県民でも知らない情報に光を当てて郷土を知ってもらいたいと思い、最初は県全体のかるた企画を考えたのですが、ネタが豊富にありすぎたため、宮崎市に限定しネタを絞り込みました。そのネタの中から、メジャーなもの、マイナーなもの、押さえておきたい偉人などをバランスよくピックアップし45音の札にしました。自然、建築、史跡などで項目を分けています。

 かるたに載っている文化財や建築物は実物を見てもらえるように、実際に保存されていて現地で目にできるものを掲載しています。お子様が郷土の歴史や風景を五感で感じておくと好奇心が芽生えやすくなるのではと思います。

 私自身、小学生と中学生の子供がいるのですが、かるたの試作で沢山遊んでもらいました。子供は読み札が長いと最後まで読まずに取ってしまうので、読み札は子供でも読める文字数に改良し、解説書は忙しい保護者の方でも読みやすい文字数(150字程度)で、ちょっとしたすきま時間に親子で楽しめる仕様にしています。

 スマホが普及し、家族でも個々が遮断されている時間が多くなった気がします。かるたを通じて家族が繋がり、楽しく会話できる一助となってくれれば幸いです。

ヒムカ出版宮崎郷土かるた解説本の画像

ちょっとした隙間時間にかるたの紙の手触りを感じながら、親子で宮崎市の歴史を気軽に楽しいんで欲しいと渡邊さんは語る

 

Q:郷土に根付いたヒムカ出版さんにしか出来ないオンリーワンな商品群ですね。これからの方向性をお聞かせください。

 紙媒体と比較した時、デジタルは画面上の2次元の情報ですが、紙の書籍は手で触れた時の立体的な触覚、肌で感じる紙の質感、紙やインクの匂いなど五感で感じる事ができることが良いと思っています。本棚に昔、親が読んだ本も並んでいるのですが、親と同じ年代になった今、「こんな本を読んでいたんだな。」と感慨深く思うところがあります。本棚には、その人の人生が垣間見れる気がします。

 

Q:郷土に根付いたヒムカ出版さんにしか出来ないオンリーワンな商品群ですね。これからの方向 性をお聞かせください。

 宮崎の書籍にこだわるのは、一番身近な地域を子供たちに詳しく知って欲しいからで、成長して世の中や世界に出た時、自分の原点である宮崎と世界の違いを体感しやすいのではと考えています。故郷に貢献し、人の為に生きた高木兼寛など宮崎の偉人や歴史、風土など、育った土地の原風景を知っている事は大きな強みにもなります。
 書籍は後世にも残るので中途半端なものは作れない。体力が続く限り一冊一冊丁寧に作り続けます。

 

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ヒムカ出版宮崎郷土かるたの画像

ヒムカ出版 宮崎郷土かるた

《つくり手のご紹介》
・ヒムカ出版(出版社)
・所在地:宮崎県宮崎市
・HP:ヒムカ出版
・instagram:himukapublish

【業務内容】
出版及び図書販売

 

・インタビュー:西原玲子(とあると)
・更新日:2024年12月29日

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